新原歯科医院

根本先生のブログ

アーカイブ: 1月 2016

「図解入りの説明」

前任者から総入歯のNさんを引き継いだ。

 

少々難しい症例ではあったが、総入歯そのものはしっかりとしていたので、必要な調整を行って治療を終えたとおもったが、そこから長い付き合いが始まった。

 

2,3日するとNさんから先日調整した箇所の具合が悪いと電話が入ったので、すぐに来るように伝えた。

 

来院すると口の中を見せるより先に入れ歯のどこが具合悪いかを書いた図面を手にして症状を説明してきた。

 

実に詳細な図面だったが、残念ながら先日調整したところとは関係ない場所だった。

ともかくも口腔内の具合が悪いという場所を調べたが、特にこれといった問題が見られなかった。

しかし少なくともご本人がそう感じているのだからと、その辺りを調整して治療を終えた。

 

それから頻繁に同じようなことが繰り返された。

その都度に問題だという箇所の詳細な図を持参した。

 

正直に言うと、少々億劫にに感じるようになっていた・・・というのは訴える症状と図面とが必ずしも一致しないことも多々あったからだ。

しかしそれでもNさんはやってくる。

 

そうなればこちらも覚悟を決め、トコトン付き合ってみようと気持ちを切り替えた。

 

まず口の中を診る前に図面の説明をじっくりとしてもらう。

その説明をしっかりと頭に叩き込み、それから口の中を診ながら症状を細かく聞きながら確認する。

 

そのようなことを繰り返しているうちに徐々に気づいた。

それは、症状と図面が一致しないというのは私の思い込みであったということだ。

 

実はNさんの訴える症状が図面の箇所に影響を及ぼしていたのだ。

それが理解できたら、それからはNさんが口を開く前に持参した図面を見ただけで症状か分かるようになった。

 

こうなると「阿吽の呼吸」というのだろう・・・それまではNさんはあれこれ細々と説明していたのに、来院すると私に図面を手渡すだけになってきた。

Nさんからは本当に沢山のことを教えられた。

 

総入歯がどんな症状を起こし・・どう調整すればどうなるのか・・

こんなに具体的にしかも明瞭に総入歯の症状や問題箇所を指摘できるというのは凄い!

 

Nさんとの経験がそれからの入歯作成にどれほど役だっただろう。

本当は治療費をもらうのではなく、こちらが勉強代を払わなければならないほどだ。

 

しばらくNさんの来院が途絶え、気になっていた。

半年以上過ぎた頃に奥様に付き添われて来院された。

 

大病をされて入院中だという。

しかし、図面を見ただけて処置してくれる私のところにどうしても来たいと、病院を抜け出てきたらしい。

奥様はご主人を病院から連れ出すなんてと子供達に叱られた、と苦笑しておられた。 当然だろう。

それでも何回も病院を抜け出して来られた。

 

しばらく音信が途絶え、気になり始めた頃に奥様がお一人で来院された。

実は「夫は『明後日、歯科に行く』と嬉しそうに図面を描いていたが急変して息を引き取った。 これが最後の図面です。」と一枚の紙を渡された。

 

紛れもなくNさんの描いた図だ。

これなら少しだけ噛み合わせが滑ったけど痛いところはなかったはずだ・・・・

 

涙が流れた。

 カテゴリ:体の不思議

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

 

「一年の計は元旦にあり!」

 

毎年、今年こそは体重を減らすぞ!と意気込んでいるが、昨年は5キロ以上の減量に成功した。(万歳!!!)

 

もっとも減量成功の原因は努力でもなんでもなく、夏から秋にかけて体調を崩して食欲を失ったからである。

 

でもそれからはリバウンドしないようにわずかな努力を続けている。

 

その方法とは食事の時に「ゆっくり」「噛む回数を増やす」ことだ。

 

食べ物を一口入れてユックリ噛むと良い、ということは以前から知られていたが、東京工業大学での実験でも科学的に証明された。

 

平成 26 年 5 月 8 日の東京工業大学ニュースに次のような記事が発表された。

(http://www.titech.ac.jp/news/pdf/n000276.pdf)

 

ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えることを発見

-食べ方による減量手法の開発に期待-

【要点】

○ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増加

○食後の消化管の血流増加はエネルギー消費量の増加に関連

○ゆっくりよく噛んで食べることが良いとされる裏づけ

○咀嚼(そしゃく)を基盤にした減量手段の開発につながる

 

そしてその記事の中に次のような一文がある。

 

「食後90分間のエネルギー消費量は急いで食べた試行の場合、体重1kg当り平均7calだった一方、ゆっくり食べた時には180calと有意に高い値を示した。急いで食べるよりも、よく噛んでゆっくり食べた方がエネルギー消費量が大幅に増えた。体重60kgの人がこの食事を1日3回摂取すると仮定すると、咀嚼の違いによって1年間で食事誘発性体熱産生には約11,000kcalの差が生じる。これは脂肪に換算するとおよそ1.5kgに相当する。」

 

ユックリ、よく噛んで食べる・・・これなら続けられそうだ・・・・多分!

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