新原歯科医院

根本先生のブログ

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明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

 

「一年の計は元旦にあり!」

 

毎年、今年こそは体重を減らすぞ!と意気込んでいるが、昨年は5キロ以上の減量に成功した。(万歳!!!)

 

もっとも減量成功の原因は努力でもなんでもなく、夏から秋にかけて体調を崩して食欲を失ったからである。

 

でもそれからはリバウンドしないようにわずかな努力を続けている。

 

その方法とは食事の時に「ゆっくり」「噛む回数を増やす」ことだ。

 

食べ物を一口入れてユックリ噛むと良い、ということは以前から知られていたが、東京工業大学での実験でも科学的に証明された。

 

平成 26 年 5 月 8 日の東京工業大学ニュースに次のような記事が発表された。

(http://www.titech.ac.jp/news/pdf/n000276.pdf)

 

ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えることを発見

-食べ方による減量手法の開発に期待-

【要点】

○ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増加

○食後の消化管の血流増加はエネルギー消費量の増加に関連

○ゆっくりよく噛んで食べることが良いとされる裏づけ

○咀嚼(そしゃく)を基盤にした減量手段の開発につながる

 

そしてその記事の中に次のような一文がある。

 

「食後90分間のエネルギー消費量は急いで食べた試行の場合、体重1kg当り平均7calだった一方、ゆっくり食べた時には180calと有意に高い値を示した。急いで食べるよりも、よく噛んでゆっくり食べた方がエネルギー消費量が大幅に増えた。体重60kgの人がこの食事を1日3回摂取すると仮定すると、咀嚼の違いによって1年間で食事誘発性体熱産生には約11,000kcalの差が生じる。これは脂肪に換算するとおよそ1.5kgに相当する。」

 

ユックリ、よく噛んで食べる・・・これなら続けられそうだ・・・・多分!

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「骨組み・・そして肉付け!」

米国カリフォルニア州の歯学部に入学した。 それまで全く畑違いの音楽からの歯学部だった。

 

卒業して何年経ても夢で歯学部時代の試験にうなされるくらいに勉強は大変だったが、それでも興味津々の学びであった。

 

今でも解剖学で献体の頭からつま先まで解剖をした人体の不思議への感動は忘れない。

 

歯学部の2年生の夏からいよいよ実際の患者への治療実技が始まる。

 

治療経験のない学生のところに来る患者などいるのだろうか(?)と心配になったが、実際は歯学部に多くの患者が来る。

 

患者もよく知ったもので、米国の歯学部で治療を受けるのは安くて安全なのだ。

 

患者は学生の実地訓練の試験台になるのだから治療費が安いのは当然だが、安全とは・・・?

 

学生が患者治療を行う場合、治療前から治療終了までの間にクリニック・インストラクター(主に教授や経験豊かな歯科医など)による何段階ものチェックが入る。

 

簡単な虫歯治療でも治療終了までに4~5回のチェックを受けなければならない。

 

万が一にも学生が少しでも間違えると、インストラクターが即座に修正する。 そもそも間違える前にチェックが入るのでかなり理想的な治療が行われ、しかも安全に治療を受けることができるのだ。

 

ちなみに在籍した歯学部では卒業までに相当数の患者を受け持ち、しかも卒業までに義歯は◯◯症例数以上、金冠は◯◯症例以上というように色々な治療法を一定数以上終了しないと卒業できないので、卒業時にはかなりの治療数を経験していることになる。

 

また夏休みなどは医療奉仕活動に参加できる。 私の場合は約3週間メキシコに行った。

 

学校での治療や医療奉仕活動などを加えると卒業するまでに100人を超える患者の治療を経験した。 これは日本の歯学部と大きく違うところだろう。

 

話を戻すが・・・・

 

治療実技でインストラクターは学生が行っている治療の確認だけではなく、治療を実演して見せてくれることもある。

 

当然インストラクターはかなり理想的な治療を学生に見せてくれる。

 

こう書くと何となく素晴らしく聞こえるが、各段階でのインストラクターのチェックはかなり厳しく行われる。

 

そこで学生は少しでも優しそうなインストラクターを求めてクリニック中をハイエナのようにうろつく。 学生がなるべく安易な方に流れるのは常だ。

 

厳しいインストラクターにあたると、治療の最初からのやり直しを命じられることもある。 そうなるとさすがの患者も心配そうにこちらを見るし、こちらも緊張して手が震えそうになるのを必死に抑えることになる。

 

そのような訓練を受けて卒業するので、いよいよ独立して自分一人の判断で治療を行うようになっても大丈夫だと思っていたが、当然だがインストラクターは居ない。

 

最初の頃はチェックする人が居ないので”この治療計画でいいのだろうか?” ”この治療法で正解だろうか?” と不安になった。

 

そのように迷っている時になって初めて実は厳しい指導の方がとても役立っていたことに気づいた。

 

特に難しいケースに直面した時に、厳しい指導の中で教えられたことから治療方法、治療の目標をどこに置くべきかなどを見定めることができた。

 

卒業して数十年経った今でもあの厳しい指導が常に頭の片隅にある。

 

歯を削り、調整するためには1/10ミリ、いや1/50ミリ以下の精度が求められる。

 

そのわずかな誤差で食事や日常生活に支障をきたすことすらある。

 

”厳しい指導”はその少しのことも疎かにしない歯科医師を育てたいというインストラクターの熱意だったのだろう。

 

厳しいインストラクターが私の歯科医師としての骨組みを作ってくれた。

 

私はその骨組みにどれほどの肉付けをすることができたのだろうか?

 

多分、骨組みに少しは肉付けが出来たのかもしれないが自分ではわからない。

 

果たしてバランスよく、そして少しはスマートに肉付けできているだろうか?

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ほんの小さな黒い点

カリフォルニアの歯科大学を卒業してロサンゼルス近郊で開業しはじめ何となく自信がついてきたと思っていた頃、三十代前半の女性が来院した。

 

物静かというよりは寡黙な女性で、虫歯が気になるということ以外にあまり話をしなかった。

 

訴え通りに検査でいくつかの虫歯が見つかり、検査結果を見せながら治療計画を説明したが、理解したのかどうかあまり反応がなかった。 それでも次回の予約をされて帰られた。

 

それからも治療に来院されてもほとんど会話はなく、あまり関わって欲しくないのだろうかと気を使いながら治療を続けた。

 

大きい虫歯から順番に治療を始めた。 さてその日は上の前歯の間に小さく黒く見える虫歯の治療をした。

 

その方の次の予約日になった。 予約時間の少し前に一人の女性が元気良くオフィスのドアを開けて入ってきた。

 

急患が予約なしに来院した(?)と思った・・途端にその方がニコニコとしながら「先生! 元気???」

 

驚いて、入ってきた方を二度見すると、前回まで笑顔一つ見せず、寡黙で何を問いかけても反応のなかったあの女性に見える・・・・失礼を承知でまじまじと顔を覗き込むと「前回の治療後に家に帰ったら夫と子供も先生みたいにポカンと私の顔を覗き込んでた。」と笑っていた。

 

話を聞くと・・

「上の前歯の間にあった黒い虫歯が長年気になっていて、毎朝鏡を見ては落ち込んでいた。」

「人前で話したり笑ったりするとその黒い点が見えるんじゃないかと考えると、友達付き合いも疎遠になり、話すときには手を口に当てるようになってしまった。」

「そうなると人に話しかけても聞こえないと言って聞き返されるのでますます人前に出るのが嫌になっていた。」

「もう自分は一生こうなんだと思い込んでいたけど、前回の治療で先生が前歯を何かしていたので、帰りの車の中で鏡を見たら黒い点が無くなってた!」

「運転しながら嬉しくて嬉しくて、人が見たら気味悪るがれるだろうと思うほど笑いながら家に帰ったら、夫も子供に気味悪るがってた・・」と嬉しそうに話した。

 

その方が最初に来られたときに上の前歯のことは何も言われなかった、と私は思っていた。

実際に何を問いかけてもほとんど会話が成立しなかった。

思い返すとその方が最初に来たときに「虫歯が気になる・・」といって前歯をわずかに指差していたことを思い出した。

 

しかし口の中には早急に治すべき虫歯が見えたので、そのことばかり説明し、大きい虫歯から治療するように説明していた。

でもその方は本当は前歯の黒い点を何とかしたいとすがる思いで来院されていたのだ。

 

しかし私はその方の小さいサインを見落とし、他の治療に手をつけ始めた。

医療的に見たら私の治療計画は間違っていなかったかもしれないが、その方にしたら私は間違っていたのだ。

 

それ以来、私は患者さんの小さなサインをできる限り見落とさないように心がけるようにした。 それでも完璧ではないので、繰り返し話を聞くことを忘れないようにしている。(時々、スタッフに先生は患者との話が長い!と叱られることもあるが・・・)

 

患者さんが一番訴えたいことにシッカリと向き合うことの大切さを学び、それがなければ患者さんと医療者の間に信頼関係が生まれないことを教えられた。

 

少し鼻が伸びかけていた駆け出しの私にとってこの患者さんは素晴らしい先生になった。

その後、この患者さんは多くの方を紹介してくれた。

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一本の歯を残す・・

一本の歯を残す

帰国して病院勤務を始めて間もない頃、ある外国の方が歯の痛みを訴えて来院した。
主訴を聞き、詳しい検査を行った。
結果は下顎の奥の大臼歯の根元に虫歯があり、そのために歯茎もひどく炎症を起こしていた。
歯学部で学んだ教科書に従うなら、抜歯が治療の第一選択肢となるような状況だった。
まだ経験が浅かった私は教科書に沿って数通りの治療計画をその方に提示した。
しかし当然その方は歯を抜くことに躊躇を示し、「何とかならないか?」と繰り返した。
根負けした私は何とかすることを約束したが、「この歯の寿命は1年もないことを覚悟してほしい!」と念を押した。
そこでまず徹底した口全体のクリニーニングから始めた。
その方は問題の歯の治療に直ぐに取り掛かるものと思っていたらしく、しばらくは不満気な表情を浮かべていたが、”どんなに立派な家でも土台が弱ければその結果は目に見えている”と説得しながらクリニーニングを続けた。
さらに”どんな高級車でも手入れしなければ壊れる!”と説明しながら歯磨き指導を徹底して繰り返した。
それらが終わると”いよいよ本丸へ!”とその方は思っただろう。
しかし、まず虫歯部分を取り除いてそこを補強してしばらく様子を見る・・次に補強部分に仮歯を作りしばらく様子を見る・・というふうに、各ステップごとにそれが大丈夫かどうかを確認しながら治療を進めた。
結果として本来なら1ヶ月もあれば済む治療に、半年近くを費やした。 さらに定期検診を必ず続けるように指示した。
それでも私としてはその歯が1年もたないだろうと推測していた・・教科書通りなら最初から抜歯のはずだから・・
さてその方は定期検診に欠かさず来られたが、やがて本国に戻ることになった。
もうこれでこのケースを目にすることはないと思っていたが、1年後にその方から電話で定期検診の申し込みがあった。 それから毎年日本に戻って歯の定期検診を続けた・・実は日本恋しさのめに歯の定期検診を言い訳にして来日していた気配があるが・・
さて15年目に来日した時に例の歯が無くなっていた。 その方は流暢な日本語で「遂にその日が来ました!」「1年のはずが15年も歯が頑張ってくれ、その間は快適に食べることができたました。」と満足げに笑っておられた。
人の身体は”教科書通りではない!”と強く実感したのを覚えている。
それ以来、ダメと思われる歯で教科書に反してまずは残すことを第一選択肢とするようにしている。 勿論、期待通りにいかないこともあるが少なくとも残すことに最善を尽くす価値はあると思っている。
それからも99%ダメだと思いながら治療した歯が何年も頑張ってくれるケースを多く経験している。
それにしても身体は不思議なものだ・・・・

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根本先生のブログを公開しました

新原歯科医院非常勤医師、根本愛一先生のブログを公開しました。どうぞ宜しくお願いいたします。

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