(時の流れが早すぎる・・・前回が2月だったなんて・・・・)
さて、解剖をするときには手順を詳しく記したマニュアルがあり、神経や器官をどうやって見つけるかが細かく指示されているが、最初はどれが神経でどれが筋かの見分けもつかない。
しばらくするとどれが神経で、動脈で、静脈で・・と見分けがつくようになってくる。
それらを傷つけないように臓器などへの解剖を進める。
解剖を始めて一週間くらい経った頃だろうか。
隣で解剖しているグループが騒がしい。
どうもマニュアルにあるはずの組織/臓器が見つからないと焦ってる様子だが、
他のグループは「どうせ奴らはまたドジを踏んだんだろう!」くらいに思っていた。
騒ぎを聞きつけて教授がやって来た。
教授はメスを取ると手慣れた様子で解剖を進めるが
しばらくすると首をひねっている。
教授がしきりに首を振りなたら「???珍しい! 初めて見た!」と唸ってる。
驚いたことに、その献体の臓器は、左右全く逆になっていたのだ。
右にあるはずの臓器が左に・・・・例えば、左にあるはずの心臓が右についている。
通常、献体には当人の病歴、治療歴など書かれているが何の記載もなかった。
臓器が鏡に映したように左右逆でも心臓と肺の関係、胃と腸の関係・・どれも正常だった。
この方が病院に行き、医者が聴診器を通常の心臓の位置に当てても心臓の音が聞こえなかったはずだ。
・・「心臓が動いてない!・・・でも生きている・・?」と驚かなかったのだろうか・・・
解剖をしてみると、人の体は本当に不思議だ。
こんなに素晴らしい体を大切にしないとしたら、本当にもったいない。
・・・続く・・・