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根本先生のブログ

アーカイブ: 12月 2018

食後すぐの歯磨きは危険(?)って本当?

最近「食後すぐの歯磨きは歯に悪いから、少なくとも食後30分以上経ってから歯磨きをした方が良い。」というのを耳にしたと思いますが、以前は「食べたらすぐに磨け!」と言われていたのにどうなの? という質問をよく受けるので少し解説してみます。

 

「食後すぐ磨いてはダメ」という理由の多くは「食後、口内は酸性になり、歯のエナメル質が酸でやわらかくなるので、そこでブラッシングすると、歯の表面を傷つけてしまう。」からというものです。

 

ところで話を戻します。 「食後すぐの歯磨きはダメ」という情報な元になっている実験があります。  それは酸性の強い炭酸飲料に歯の「象牙質」を90秒間浸した後に口の中に戻し、時間を置いてから歯を磨くというように、歯磨きの開始時間によって歯の象牙質に酸がどれくらい浸透するかを見る実験です。

 

実験で「歯の象牙質」を酸に浸していますが、人の歯の構造は、まず歯の一番表側に人体で一番硬い組織「エナメル」が覆っていて、その内側が「象牙質」という骨と似た組織になっていて、「象牙質」を歯ブラシで直接磨くということはありません。

 

それなので象牙質を用いた実験結果をすぐに日常の歯磨きに結びつけることは無理があります。

 

さらに実験では酸性の炭酸飲料水を用いていますが、これも普通の食事に置き換えて結論とするのも正確ではありません。

 

この実験は「酸蝕症」という、いわゆる「酸性」の強い物、例えばスポーツドリンク、柑橘類、お酢などを多く摂ることによる歯への影響を見る実験で、「虫歯」の実験ではありません。 

 

この結論で食後すぐの歯磨きはダメというのは早計すぎます。

 

もちろんお米を食べても口の中はある程度 酸性にはなりますが、唾液が十分に出ていれば酸は中和されます。  それよりも口の中が汚れた状態を続けることの方が問題になるので食後30分後などと気を使いすぎるよりも、いつも清潔を心がけるのが正解です。

 

「日本小児歯科学会」も「通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。」と勧めています。

 

「ライオン歯科衛生研究所」も次のよう推奨しています。

「酸性の食べ物や飲み物を摂ったら、すぐにお水でうが いするなど、お口の酸性度を緩和するようにしましょう。  むし歯予防のためには、「食べたらみがく」、食事のあ とすぐに歯みがきする、といういつもの方法がおすすめです。」

 

しかし次のような場合は注意が必要です。

 *炭酸飲料を頻繁に飲む。 

 *間食をする。

 *柑橘類を頻繁に食べる。 

             など・・・・

このような場合は口の中が長時間、酸性の状態になるので、歯がボロボロになりやすくなります。

また特別な場合もあります。

例えば嘔吐を繰り返してしまう場合です。

胃酸はとても酸性度が強く、しかも嘔吐物が歯の表面に留まりやすいので、歯をボロボロにしてしまいます。

本当は嘔吐したらすぐに口を「重曹」でうがいするぐらいが必要ですが、せめて水で嘔吐物を洗い流すなどをした方が良いでしょう。

 カテゴリ:歯の諸々

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