頭部の解剖に耳の解剖は含まれていなかった。 耳は三つの部分から成っている。
外耳=外側に見える耳から鼓膜までの部分で、言うなれば耳かきが出来る部分。 中耳=鼓膜と内耳の間で、鼓膜に届いた音を中耳の中にある小さい骨が内耳に伝達する部分。
内耳=音を認識する三半規管というものがある部分で、ここが不具合になると目まいを起こす。
さて中耳部分はとても小さく、鼓膜から内示に音を繋げる小さい骨が入っていて、それを保護する周りの骨はとても硬い。 ちょうどクルミの殻みたいだ。
そこを開いて中を見ようと考えた。
というのもとても小さいのでクラスメートの誰もやろうとしないからだ。
もっともその部分の解剖はクラスで要求されていないので、普通は面倒臭くてやらない。
そんな時こそ日本人の器用さをアピールするチャンスだ!
外耳、内耳を頭蓋骨から切り離し、拡大鏡を使いながら慎重に骨を削っていく。 鼓膜から神経に音を伝達する骨がとても小さいことは教わっていたが、どれほどなのか全く予想がつかない。
次第にクラスメートも興味を持って手元を覗き込んでくる。
大和魂を見せつけるために失敗は許されない。
慎重に作業を進め、やがて中耳の中の骨が見えるほどの穴が開いた。
中に魚の小骨よりもさらに小さい骨のようなものが見える。
多分、これが耳小骨、鼓膜から神経に音を伝える小骨だ。
さらに慎重! 遂に開いた。
長さ2〜3ミリ程度の三本の耳小骨が見事に組み合わさっている。
内耳に一番近い小骨は吊革の取っ手部分のような形をしていて、3ミリほどだろうか、人体の中で一番小さい骨だ。
外からの音が鼓膜を振動させ、その振動をこんな小さな骨が神経に伝えているのだ。
もう一方の耳も解剖して見た。 左右対称で全く同じの骨の組み合わせだった。
なんで3つの骨の組み合わせなんだろうか?
進化の途中で小骨が1つより3つの方が聞こえると思った誰か(?)が一生懸命に念じて3つの小骨の組み合わせになったのだろうか・・・・?
こんなに精密なものが、進化だけでこれだけ精巧に進化したのだろうか?
オモチャの何千倍も精巧に出来ている中耳が進化で出来ているなら、進化で出来たオモチャでも発見されてもよさそうですだが....いまだかってそんなニュースを聞いたことはない・・・・
続く・・・
2018年2月28日 カテゴリ:体の不思議