どこの国も、どの町のどの歯医者もあまりシステムの違いはなく、同じような事をしている、と漠然と感じている方多いんじゃないかな?自分もそうでしたからね。アメリカの歯科大を出たと言うと、じゃぁ6年間もアメリカにいたの?と聞かれます。
アメリカの歯科、医科大は4年が普通です。日本で言う進学課程(医、歯学部の初めの2年)にあたる部分は4大でやっているからです。またその単位を取ることが医科、歯科大の受験資格になります。
ですから殆どの学生は4大を卒業して来ますから、トータルで最低8年かかります。私は途中少し休んだこともあり、10年かかりました。少数ですが受験資格を得るための最低限の単位をオールAに近い優秀な成績を取り、また良い推薦状のある学生は大学2年を終えたところで受験(歯科大を)して合格する人もいまして、そういう学生たちは6年で終わります。
逆に4年制大学を出たあとに大学院に進学し、修士号をとってから入る人もいたり、一度社会人として数年仕事をして資金を貯めてから入る人もあり、さまざまです。また軍隊に行ってから除隊して入る人もいます。彼らには政府が資金援助をしてくれて、軍に入るといろいろな特典があるようです。
ですからアメリカの歯科大の1年生は日本の3年生にあたる訳ですが、私の同級生(100人弱いましたが)の入学時の平均年齢は25歳でした。日本では考えられないのではないでしょうか?その違いから始まり、入学すると専門課程から入りますが、1年目の終わりから臨床(実際に患者さんの治療をします)をはじめます。
4年の間にかなりの臨床をこなします。それが必要な単位数の一部で、例えば口腔外科のクラスの単位を取るには卒業までに最低20本の抜歯を経験しなければいけません。自分の担当患者を初診から治療終了まで20人ほど(だったかな?正確には覚えてません。もう30年前のことなので)こなさなければいけません。
ですから基本的な治療は殆どある程度の数をこなすことになります。それもステップ・バイ・ステップで指導医のチェックを受け、詰め物一つ入れる治療を終わらせるためにいくつもハンコを押してもらわないといけませんでした。だからクリニックでは優しい先生の前にはいつも長い行列が出来ました。
そんなシステムでしたから、治療のベーシックは卒業するまでに叩き込まれました。日本に帰って来て勤め始めた時に同僚に日本の大学での履修課程などを教えてもらいましたが、そういう点については日本とアメリカはかなり違っていたようです。専門医制度もだいぶ違うようです。
私は根の治療(根管治療:Endodontics)が大嫌いで、大学を出たらやらなくてよくなると(アメリカでは専門医にやってもらえるからです。)期待していたのですが、(私も日本でも同じような制度があるのかと思い込んでいました。)日本に帰ってみると、すべて自分でやらなくてはいけなかったんですね。
いろいろと講習会に行き勉強、練習して、逆にかなり自信をつけましたけどね。アメリカでは矯正、外科、歯内療法(根の治療)、歯周病科、小児歯科、等は歯科大を出たのちに大学院へ進み、卒業後に専門医の試験を受け合格した者が専門医になります。彼らは自分の専門以外のことはしません。ですから一般開業医(General Practician)は難しいケースは専門医に紹介します。専門医がその専門の治療をしたあとに患者さんはまたもとのGPの治療を受けるという訳です。
結構違いがありますね。ちなみにインプラントはアメリカでは口腔外科の専門医が入れ、その上にかぶせる補綴物は一般開業医が行うという分業制が普通らしいです。私がインプラントをしないのは自分は口腔外科の専門医でも歯周病の専門医でもなく(もちろんそれらの初期治療には自信を持っていますが)一般開業医(GP)であると言う誇りをもっているからです。
また機会があったらいろいろな違いであったり、参考になることを書いてみたいと思います。