新原歯科医院

院長ブログ

カテゴリ: よもやま歯なし

デンタルフロス

先日、ネットを見ていてたまたまあるアメリカのサイトに入りました。ある研究によると、「フロスの使用は虫歯や歯周病の予防にとても効果があるとわかっているにも拘らず、アメリカ人の32パーセントはフロスを使っていない。残りのうち37パーセントは使ってはいるが毎日ではない・・・、これは少し少なすぎるではないか・・・。」とアメリカ市民のフロス使用率の低さを嘆くような論調の記事でした。

 

その記事から読み取ると、「アメリカ人の31パーセントは毎日しっかりフロスを使っている。」「また37パーセントは毎日ではないが時々フロスを使っている。」「全く使わないのは31パーセントにしか過ぎない。」と、私なら思うところです。

 

日本人のフロス使用率を調べてみると、およそ20パーセント程・・・、と言われているようですが、私の感覚ではもっと(それもかなり)低いように感じます。糸ようじを含めてもそれほどは行かないと思えるのですが・・・。歯医者でもそんなに使っているのやら・・・?

 

患者さんと話していても、毎日フロスを使っている、と言う患者さんは数パーセントくらいです。それも正しく使えているか?と言うと少々あやしいところがあります。患者さんに実際に使い方を指導すると、殆どの方が「えぇ!そんなに何回もやるんですか?」と驚きます。ま、ちょっと歯間を通すだけでも何もしないよりはいいですけど・・・。

 

日本とアメリカ(スエーデンもかなり高い使用率、51パーセントとか・・)のこの意識の差は(決して驚きませんが)悲しい限りではないでしょうか?私たちの努力不足もかなり大きな要素であることは間違いありませんが、それだけではないですよね。

 

定期検診に必ず行く方々の率も恐らく日本はかなり低いと思われます。予防によって自分の歯を守ることが出来る、と言う事をもっともっと広めて行かなければいけないと強く感じますが、なによりも患者さん自身にも自分の歯、健康を守る意識を強く持ってほしいと思っています。

20160610_175056

 

口腔の健康に関しては、自分を守れるのは自分自身の力が大きい分野です。頑張って下さい!残念ながら私たちの力では大したことは出来ません。私たちにも誰にも悪くなった歯を元通りに戻すことは出来ないのですから・・・。

 カテゴリ:よもやま歯なし

お歯黒と虫歯

先日、テレビでタイの映画をやっていました。なんか面白そうでついつい最後まで見ました。あれっ?男性の主人公たちがお歯黒をしていたのです。

 

日本だけではなく他の国でもそういう習慣があってもおかしくはありませんが、ちょっと意表をつかれました。

 

タイでは現代でも少数民族の一部にお歯黒をする習慣が残っているんだそうです。昔は日本のように全国的に流行っていたんでしょうかね?

ohaguro1映画「愛しのゴースト」より

 

日本では最近は時代劇では見られなくなって来ましたが、昔の時代劇ではよくお歯黒をした女性が出ていました。子供の頃は訳がわかっていませんでしたから、気持ち悪く感じたものです。

 

でもそれは平安時代には上流社会の女性のお洒落だったわけですね。徐々に庶民にも広まり、女性のみならず、男性貴族や武士もお歯黒をしていたようですが、明治時代でその風習は消え去りました。

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お歯黒をしていた方々が知っていたのかどうかわかりませんが、実は虫歯予防に有効な方法でもありました。

 

日本のお歯黒には植物のタンニン(渋)と「鉄漿(かねみず)」と言われる酢酸に鉄を溶かした溶液を混ぜたものを使いました。

 

その成分の特性により、歯を被覆し、また耐酸性を強める効果があったことから、虫歯予防にはとても効果のあるものになりました。詳しい事はネットですぐに調べられます。歯科のサイトでも多く取り上げられています。

 

この成分を元に作られた歯科用の薬剤もあります。フッ化ジアミン銀製剤は「サホライド」と言う製品名で子供の虫歯予防、また虫歯の進行を抑制するためによく使われました。また多くの合着用セメントにも配合されて使われて来ました。

 

最近は使用頻度は減っているようですが、昔は歯を黒くした子供をよく見かけたものです。今ほど小児歯科が発達しておらず、麻酔も使われなかった時代には怖がる子供に治療することが難しく、乳歯の場合はサホライドを塗って虫歯の進行を止める事で対処したことが多かったのです。

 

私が子供の頃は「味噌っ歯」と言われる黒くて欠けた歯をした子供がいました。今は見る事がないですね。虫歯で黒く欠けた歯にサホライドを塗るとさらに黒くなるんです。

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そう、言わば子供たちにお歯黒をしていたのですね。ひょんなことからお歯黒がリバイバルしたわけですが、もうそれもかなり見られなくなりました。「味噌っ歯」という言葉も聞かなくなりましたね。

 

ところで私にサホライドを思い出させた映画ですが、「愛しのゴースト」と言うタイの映画でした。一昨年に公開されたようですが、タイでは大ヒットして、あの「アナと雪の女王」を凌ぐメガヒットになったそうです。

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ホラー・コメディー・ラブ・ファンタジー・・・、とでも言うのでしょうか?いやぁ、面白かったなぁ。

 

 

 カテゴリ:よもやま歯なし

歯医者に行って来ました

久々に歯の治療をしました。左上の小臼歯の外側のエナメルが大きく欠けてしまったからです。虫歯があった訳ではありません。

 

昔(中学時代か高校生の時か?)もう40年以上前に虫歯の治療をし、アマルガムと言う詰め物がしてありました。歯の上から見て、真ん中に金属の詰め物があり、歯の前と内側に自分の削っていないエナメル質が残っています。

 

永久歯は子供の時に萌出し、それがずっと仕事をし続けてくれるわけですが、体の他の部分と違い、新陳代謝で細胞が置き換えられることもなく、それでもひたすら酷使に耐えて私たちの為に頑張って物を噛み切ってくれるのです。

 

でも、やはり歳とともに疲れてくるんですね、新陳代謝している肉体でさえ疲れてきます。あちこちが傷んで来ます。歯もすり減ってくるし、欠けやすくなって来るんです。

 

よく患者さんにそう説明していますが、まさにそれが私の歯に起こりました。こういう欠け方をすると、被せもので覆って補強しなければなりません。

 

たまたま根本先生がここで手伝ってくれるようになっていましたから、本当に助かりました。信頼のおける歯医者さんですから、安心してお任せできます。早速予約を取り(根本先生はご自身の患者さんが詰めかけて大忙し、4週間先の予約になりました。

 

さて、まず麻酔です。よく効きますねぇ・・・。これもよく患者さんに話しますが、患者さんには、顔が腫れたような感覚になるのですが、腫れてはいないんです。鏡を見せて安心して頂きます。自分で久々に麻酔を経験しましたが、「いやぁ・・・、ほんとに腫れたみたいに感じるよ・・。」と今更ながらに思ってしまいました(笑)。

 

さて形作りが始まりました。被せものの厚みの分だけ歯の周りを形成します。痛くはありませんが、やはり身体に力が入ります。よく患者さんに「は~い、力を抜いて、楽にしててくださいね・・・。」と話しかけますが、やっぱ、難しいですねぇ・・・。

 

仮歯を作ってもらい、歯型をとります。技工所には「私の歯です・・・」と恥ずかしながらメモを添えて送ります。一週間後にセラミックの歯が完成して来ます。

 

仮歯でも全く問題ないですね。忘れて普通に噛んでも全く支障ありませんでした。

 

さて、完成したセラミックの歯を装着します。ちょっとしみますが、麻酔なしでやってみました。削るわけではありませんが、少し触るだけでピリッと沁みます。これくらいなら我慢できますから、調整してセメントでセットしてもらいました。

 

少し高いかな?とも思いましたが、一日使ってみました。これもいつも患者さんに話すことですが、入れた詰め物や、被せものが少しでも高いと、噛むと痛みます。無理して慣らそうとすると、歯に大きなダメージを与えることがあります。

 

人間の顎の力はとてもつよいものです。その力を普段は28本の歯で分散して受けているのですが、高いとその歯だけですべての力をう受けますから、ほぼ十倍以上の力を受けることに(単純計算ですが)なります。

 

この力を受け続けると、さすがに耐えられなくなり歯をダメにしてしまう事さえあるのです。ですから食事してみて痛んだり、高く感じるようなら、少しでも早く調整しなければいけません。遅れるほどダメージが重なり、咬合痛がなくなるのに日数がかかるようになることもあります。

 

「いやぁ・・・、本当に、噛み合わせが高いと痛いもんだなぁ・・・。(笑)」と、いつも説明している事を実感しました。患者さんになってます。気持ちがいっそうわかります。

 

次の日に根本先生に「根本さん、もうちょっと調整してください」とお願いして、ほんの少し直してもらっただけで格段に楽になりました。

 

私の場合は一回の調整で済みましたが、一か所直すと、微妙に他の点が強く当たってくることもあり、たまには何回か調整しないといけないケースもあります。こんなもんかな?と思って慣らそうとすると、大きな問題になることもあります。違和感ないところまで調整して貰って下さい。

 

私の歯にはメタルボンド冠と言う、貴金属の薄いフレームにセラミックを焼き付けた冠を装着しました。歯に接触している冠の内面は金属です。金属は熱を伝導しますので、歯の敏感な部分が熱の変化を感じやすくなります。

 

その為に、以前よりも冷たい水や熱い食べ物などに沁みやすくなります。個人差がありますが、2~3週間で慣れてきてしみなくなって来ます。このこともいつも患者さんに説明していることですが、「いやぁ・・・、ほんとにしみるもんだなぁ・・・」といまさらですが実感しました。

 

今はもう水にもしみなくなり、快適に食事をとることが出来ます。根本先生に感謝です。

 

患者さんが感じる事を実感できたのも久しぶりです。いっそう患者さんの身になって治療することの大切さを感じさせてもらいました。皆さんも同感でしょうが、ま、あまりこういう経験はしたくはありませんけれど・・・。

 カテゴリ:よもやま歯なし, 歯の話

深沢七郎・楢山節考

深沢七郎さんと言う小説家がいました。私が高校生の時に東武線曳舟駅前で(今はスカイツリーラインと言うんですかね)たい焼き屋を開きました。夢屋と言いました。今スカイツリーがある押上の隣です。

 

高校通学の降車駅でしたから、同級生はみんなそこで鯛焼き買ったことあるんじゃないかなぁ。おいしい餡子がしっぽまでたっぷり入っていて(しっぽにあんこ入れるのは邪道だ!と言うやつもいましたが)うまかったです。

 

ときどき店の奥に深沢さんがいるのを見ました。実は私はそれまで深沢さんの事知らなくて、同級生が有名な小説家だということを教えてくれてそれで知ったんです。フラメンコギターの名手としても有名だったそうです。

 

楢山節考とか笛吹川とか読みました。だいぶあとで、確か私が歯医者になったころでしょうか、楢山節考が緒方拳主演で映画化されました。(3度目の映画化だそうです)

 

その映画の為に女優の坂本スミ子さんは、今村昌平監督から「歯を抜いて来て下さい」と言われたそうです。

 

姥捨山が題材なのですが、老人が歯を失い、食事をとれず弱ってくると姥捨山に連れて行かれます。でも坂本さん扮する女性は歯が丈夫でいつまでもしっかりしています。彼女は自分が姥捨山へ行き、口減らしをしなければ家族が食べるものを欠いて困ることを気にかけ、石で自分の前歯を打ち、歯を抜いたのです。そして息子に自分を山に連れて行くように頼みます。

 

そのシーンの為に坂本スミ子さんは前歯を抜いたのです。私はそれを(テレビの座談会で見たのですが)聞いて、「なんてことしてくれるんだ!」と思いました。

 

自分の身体の一部である親からもらった(神様がくれたのかもしれません)歯を、どこも悪くない歯を抜いてしまうなんて歯医者としては許せない事です。

 

どんなにお金をかけても本物の歯に勝るものはないのですから。でも芸術家にとってはそれをしてでもすばらしい作品を生み出す事が優先されるのでしょうか?ここは価値観の問題ですが、それにしても・・・。確かに命には関わらないかもしれませんが・・・。

 

私はこの映画は見ていません。とても高い評価を勝ち取り、いくつもの賞もとったと記憶していますが、あの深沢さんの淡々とした語り口で人生の悲劇を日々のことのように綴った小説を演じるのは名優といえども難しいのではないかな、と思ったからです。

 

なんて言ったらいいのか・・・、演技をした時点で、演ずる事によって・・・、深沢さんの本の良さがひとつ消されてしまうような気がしたのです。

 

母親を置いて帰り道、雪が降りはじめます。一度置いてきた者の所へ戻るのはご法度なのですが、息子は戻ります。母親は来るな!と手を振ります。それに向かって「おっかぁ、よかったなぁ」と声をかけます。(飢えてカラスにつつかれながら死んで行くのではなく、寒さで凍えて早く死ねるからです。)・・・こんなラストシーンだったような気がします。淡々と語られます。

 カテゴリ:よもやま歯なし, 歯の話

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