大晦日の内山選手、三浦選手のそれぞれの世界戦すごい試合になりました。WBCの三浦隆司対ダンテ・ハルドン戦は二人とも殆どジャブを突かずのフルスィングの応酬です。
序盤からいいパンチをボディーに決めていた三浦選手が8ラウンドに左アッパーでハルドン選手の鼻を砕きました。
その時点でハルドンの心は折れていました。ここで試合止めてもよかったと思います。9ラウンドに入り三浦のパンチがハルドンを捕えるとハルドンは膝をつきました。完全に戦意喪失したところでレフェリーがストップしました。
三浦選手は3年前(くらいだったかな?)の内山戦で、一度ダウンを奪ったものの、右こぶしを痛めた内山選手に左一本で両目を塞がれました。内山選手はジャブ、ストレート、フック、それぞれに何種類もの打ち分け方が出来る稀有のテクニシャンであり強打者なのです。
8ラウンドくらいだったでしょうか?ゴングが鳴っても席を立たず負けを認めTKO負けしました。まさに左を制する者は世界を制す、でした。
それからよくここまで自分を高めてきたものです。WBCのタイトルをとった試合、初防衛戦、みな素晴らしいボクシングを見せてくれました。拍手です!
そして内山高司対金子大樹戦。これまたすごい試合になりました。金子選手はまだ25歳、6連続KOで日本に敵なしの選手だそうです。
内山選手がこれほど下がらされたり、クリンチで逃げるシーンはあまり見たことがありません。金子選手、いいパンチを貰いながらも決して引かず最後までプレッシャーをかけ続けました。
10ラウンドの内山選手ダウンシーンには、これは番狂わせが起こるか?と思われた方も多いのではないでしょうか。私もドキドキしました。
かなりのダメージがあった筈ですが内山選手、苦笑いで済ますところがまたすごいです。のこりの2ラウンド、内山選手足を使って金子選手のパンチをかわしながらすごいパンチを入れて行きますが、金子選手もタフです。
とうとう判定になりました。終始押してはいましたが、金子選手の端正な顔が12ラウンドのあとでは別人のように変えられていました。殆ど腫れのない内山選手の顔と比べるだけでどちらが勝者かははっきりわかりました。
内山選手の右手がまた痛んでいないか心配です。試合後にすぐアイシングしていましたね。金子選手、まだ25歳、数年後が楽しみになってきました。内山選手も彼を「The 男ですね」と言って讃えました。
かなりのダメージがあった筈ですが、それを物ともしない内山選手も「The 男」です。いい試合でした。金子選手、敗れはしましたが丁寧に内山選手に礼をして感謝して試合を終えました。最近は試合後にろくに礼をしない選手がいますが、すがすがしい感動を覚えます。
次の日の新聞でスコアカードを見て驚いたのですが、内山戦の3人の審判は全員全ラウンド同じ採点をつけていました。三浦戦では9ラウンドまでですが、1ラウンドだけ1人が違う採点でした。
これも珍しいことで、いいボクシングをした証しです。へなちょこパンチ同士のマッチではどっちにつけるか難しいラウンドが多くなります。プロは当てただけではポイントをつけないジャッジも多いからです。
これだけの強打者同士がお互いに明らかにポイントになるパンチを打ち続け、お互いに耐え続けたからこその採点です。そして、とてもクリーンな試合でもありましたね。若干のローブロー注意はありましたが、他の世界戦では明らかなローブローが黙認されることもありました。
いつか統一戦になるのでしょうが、内山、三浦両選手とも世界の舞台で活躍してもらいたいものですね。