ときおりゴルフのマスターズ・トーナメントのテーマソングがTVから流れて来ます。マスターズ・ウィークが近づいて来ているのですね。
初めて聴いたときは特に印象はなかったのですが、毎年聴いているうちに好きになって来ました。歌詞も、かつての名選手の名前であったり、伝説的なジーン・サラゼンのダブルイーグルの事などが盛り込まれていたりして、マスターズだなぁ、と思う曲です。
私がアメリカで学生生活をしていた1970年代には、マスターズの前週に同じジョージア州のアトランタで「アトランタ・クラッシック」と言うゴルフ・トーナメントが開催されていました。1967年から始まったそうです。
アメリカのTV局はスポーツ番組でも音楽をセンスよく使って演出します。NBAのプレーオフなんかも音楽の使い方が見事でした。このアトランタ・クラッシックのテーマソングには「Georgia on my mind」(我が心のジョージア)が使われていました。
番組のイントロで、陽炎が立ちのぼるような暑いアトランタの大地を遠くから一人の男が歩いてくるのが見えます。ゴルファーのようです。けだるい南部の暑さの中、かげろうに揺れながらゴルファーが歩いてくる。
そこにけだるそうな歌いぶりで「ジョーージァ・・・・、」と歌が流れてきます。いやぁ・・・・・、かっこよかったです!
タワーレコードに行ってドーナツ盤を買いました。歌手はウィリー・ネルソンでした。「On the Road Again」とか大好きでしたが、あのウィリーだったんだなぁ・・・、と軽く思っただけでしたが。
その頃はジャズも知らないし、レイ・チャールズの事も名前を知っている程度でしたから、この「我が心のジョージア」はウィリーの歌だと思い込みました。すぐ有名な曲だったことを知るようになりましたが・・・。
ウィリーはレイや、ウィントン・マルサリスともコラボしていますね。
だいぶ後になってから、この曲の入っていたウィリーの「スターダスト」と言うLPも買いました。そこらへんからジャズのスタンダードっていいなぁ・・・、と思うようになったのかもしれません。
さてこのころはまだマスターズにはテーマソングがありませんでした。ある年に「Augusta」と言う歌を使うようになり、それからずっと使われています。
今回ちょっとチェックしてみたら、デイヴ・ロギンスと言うシンガーソングライターが作って歌っているそうです。ロギンスと聞いてもしや・・・、と思いましたが、やはりあのケニー・ロギンスの親戚(いとこだそうです)でした。
音楽に詳しい方はご存じなんでしょうが、私はついこの間はじめて知りました。結構有名なカントリーの歌手だそうで、他のミュージシャンにも楽曲を提供したりしていたらしいです。
それはさておき、ここまで長々と書いてきた理由はと言いますと、なぜマスターズのテーマ曲が作られたのか?ということを話したかったからなのです。
私の個人的な感想ですが、おそらくマスターズを中継していたテレビ局や、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブのマスターズ委員会の方々は、前週に行われていたアトランタ・クラッシックのあの歌を聴いて、うちも負けてはいられない、と考えたに違いないと私は思っているのです。
そしてロギンスに依頼してあのテーマソングが出来たんだろうと私は勝手に信じています。本当のところは知りませんが、それくらいあの中継のイントロ、エンディングに流れるウィリーのGeorgiaはかっこよかったですね、それと一緒にながす映像と共にです。
アトランタ・クラッシックはその後も名前や場所を変えて続いていました。最後はAT&T・ゴルフ・クラッシックという名前になり、今田竜二選手が2008年にその試合でPGA初優勝を飾りました。
実はその試合がアトランタ・クラッシックから始まった長い歴史を持ったトーナメントの最後の試合になりました。(後のAT&Tナショナルは別のトーナメントだそうです)
もう今は「Georgia on my mind」が流されることはなくなり、マスターズのテーマソング「Augusta」が名曲となってマスターズウィークの到来を私たちに知らせてくれます。