昔から人々は入れ歯で苦労して来ました。最近、タイムスクープハンターと言うNHKの番組(好きな番組です)江戸時代の入れ歯の話をやっていました。入れ歯師という人たちが日本中を回って患者さんたちを助けていたとか・・・。
大学時代、教科書で昔の入れ歯の写真とか見ました。世界中でいろんな入れ歯を作っていました。よくこんな入れ歯で食事していたもんだなぁ・・・、と驚かされたものです。昔からみんな歯の悩みに苦しんでいたのですね。でも、もしかしたら現代の下手な歯医者より良かったりしたら困りますね。
部分入れ歯は、多くのケースで、よいデザインをしてよい材料で作るとかなり良く機能します。クラスプと言う金具を残存歯に掛けて義歯を支え、固定します。どの歯のどの部位にどの程度の力を負担させるか・・・、欠損部の義歯床をどれだけぴったりと顎堤(歯ぐき)に密着させられるか・・・、どれだけ安定(動かないように)できるか?等々、良い義歯にするための関門があります。
残念ながら保険診療の範囲には最高の義歯は含まれていません。保険の範囲で可能な義歯と自費の金属床義歯では、材料も違うし、作り方そのものが違います。
クラウン、ブリッジ等は材料の違いはあっても、自費、保険診療とも作り方は基本的に同じです。(最近はジルコニア等、CADを使って作成するものも出てきましたが)
見栄えを除けば治療後の機能はさほど差はありません。もちろん精密度には大きな差がありますから、予後には差がつきますが、使用感、患者さんにわかる感覚的な違いは殆どありません。
義歯に関しては、保険の範囲で出来る義歯とそうでない自費の義歯には大きな違いがあります。
米国には日本のような社会保険制度はありません。医師、歯科医師が治療として正しい、かつ患者さんにとってベストであろう治療法を選択し、行います。
アメリカでは、抜歯後の歯ぐきが治癒、安定するまでの間の暫定期間に使う仮の義歯としてのみ使う義歯があります。数か月後には歯ぐきの良化を確認して最終的な義歯を作成します。
残念ながら、日本の保険制度では他の先進国で暫定義歯として使う義歯が最終補綴物として治療に使われます。もう少しよい作りの義歯もありますが、金属床義歯とは比較になりません。歯科ではすべての良い治療が保険でカバーされてはいません。
クラウン、ブリッジと違い、安定度、使用感、咬合力に大きな差があります。良いデザインで安定した部分入れ歯は噛む機能にも優れ、また残存歯にかかる負担も和らげ、残った歯を長持ちさせることが可能です。
噛むたびに微妙に動く義歯の金具は、そのたびに掛けている歯を揺らし負担をかけるのです。
両方の義歯を経験された患者さんには大きな違いがすぐに実感されます。保険の部分入れ歯を使っていた患者さんが金属床の義歯を使うようになると、(よく噛めると言えど、残存歯に多少の負担はかかかります。)あまり固いものを噛み過ぎないように指導しなければいけません。
残念ながら自費の治療になりますから、欠損歯の数や場所により20~40万円の予算がかかります。しかし、インプラント1本分の費用で5~6本、あるいはもっと多くの欠損をカバーできることを思えばかなり経済的だし、安全でもあるのではないでしょうか?
まずは、そうならなくてすむように、良く自己管理をすることからですけれど・・・。頑張ってください!