先週の新聞に歯周病が動脈硬化を引き起こすメカニズムが解明された、と言う記事が載っていました。その研究結果が世界の学会で認定されるかどうかは、今少しの時間が必要ですが、歯周病と血管疾患の関連は以前から指摘されていました。
歯科疾患が他の臓器に影響を及ぼすことがある、と言う事実をご存じでない方々も多いのではないでしょうか?糖尿病との関連も以前から言われています。
先に述べた動脈硬化のほかで歯科疾患が影響を持つとても重要なものに、心臓弁膜症、そしてそれの原因ともなるリューマチ熱の既往症を持つ患者さんのケースがあります。
歯の治療の際に多少の出血を伴う事があります。特に、抜歯したとき、歯周処置(歯石を取るスケーリング、歯周外科など)を行うときなどです。
少しケガをしたときも、歯の治療で出血したときも軽度の菌血症を起こします。血管に菌が入るのです。口の中はいろんな細菌がいますが、殆どの場合は身体の免疫力が菌をやっつけてくれます。しかし心臓弁膜に疾患を持つ方は、その菌が心臓に届くと、急性心内膜炎を起こし、命に関わる可能性があります。
ですから、そのような既往症を持たれている方に観血的治療をする前には、予防のために抗生物質を処方し、術前、術後に服用して頂きます。
また、ペースメーカーを使用されている場合には、電気メスの磁力がペースメーカーを狂わせる可能性があるので、電気メスは使えません。
このように、かなり危険な関連性も時としてあります。そのために問診票に既往症など、注意すべきことを正確に書いていただくことがとても重要です。
私たちは皆さまの安全と健康の為に最善をつくすように努めてまいりますが、それには皆さまのご理解とご協力が不可欠です。