大学時代の友人のMさん(年上で、歯医者ではありません)が治療に来ていまして、彼との会話の中で昔の事を思い出しました。
歯科大に入る前の4大の時の友人ですが、彼はアメリカ生活が長かったことと、帰国してからも外国の会社と国際電話でビジネスをして来ましたこともあり、私よりはるかに英語は上手です。
治療中に「痛くない?」と聞きますと、口がふさがっていますから、首を振って答えます。日本語だと、痛くないときは「うん、痛くないよ」と肯定文で答えますが、英語だと「No it doesn`t hurt」(いや、痛くないよ)と否定形で答えます。
中学の英語で習いましたよね。否定疑問文に対する答え方が日本語と英語では違って来ます。(逆になりますね)
Mさんのように英語を使うことが多い人は日本語のときも英語のような答え方をしてしまうことがありますね。「痛くない?」と聞くと、首を横に振ります。No、痛くないよ、と答えているのです。癖になってしまっているんですね。
そんな事を考えていたら、学生時代に非常に恥ずかしい経験をしたことが思い出されました。
アメリカに行ったばかりのころ、学校の体育館であったり、教会だったり、時々集会がありました。遅れて行くと、空席を見つけるのが難しくなります。
空いている席を見つけ、隣に座っていた可愛い女子学生に「ここ、空いてます?」と聞いたつもりで「Is it?」と言うと、「Yes」と言われました。じゃあ、と思い座りますと怪訝な表情で(「何?こいつ?」みたいな感じ)でにらまれました。
じきに彼女の友達が来て、その席をどかされました。そのあとも暫く訳がわからず、同じ失敗をしてしまいました。
全く英語出来ませんでしたからね。何か言われても聞き取れませんから、なぜなのか理解できませんでした。暫くしてから、英語では「この席空いてますか?」とは聞かずに、「この席は埋まっていますか?」という言い方で聞くのだと言う事を知り、やっと納得です。
「この席埋まってるっ!」て言ってるのに私が座ってしまうわけだから、「変な奴」と思われても仕方なかったですね。
「Is this seat taken?」とか、「Is it taken?」と聞くんだったんですね。国によって、言葉によって表現の仕方が逆になることがあるというのも面白いですね。きっと、もっともっと興味深い違いがいろんな文化や言語にはあるのでしょう。
そんなわけで、アメリカに行った頃の私は「変な奴」と皆に思われていたかもしれません。同じような恥ずかしい思いをしたこと、多々あります。
寮の廊下で、すれ違った同級生に「How`s it goin`?」と言われ、これは単なる「調子どうだい!」みたいなカジュアルな挨拶なんだけど、そんなことも知らず、おまけによく聞きとれず、「where are you going?」と言われたと思い、「今から体育館に行くよ」とか、とんちんかんな答えをして、またまた「なんだこいつ?」みたいな目で見られたり・・・。
あのころ、恥をいっぱいかいたおかげで、かなり鈍感になりまして、日本に帰ってから友達に「変な奴」と思われるようになってしまいました。ちょっとしたことは気にしなくなってしまいましたから・・・。
恥ずかしいことばかりでなく、言葉が出来なかった為に、くやしい思いをしたこと、腹が立つこともいっぱいありました。でもまた、それにもかかわらず、よくしてくれた人たちの心優しさに感謝したこともいっぱいありました。
いまとなっては、どれも懐かしい、遠い思い出になりました。Mさんの治療していて、そんな事思い出しました。