久々に歯の治療をしました。左上の小臼歯の外側のエナメルが大きく欠けてしまったからです。虫歯があった訳ではありません。
昔(中学時代か高校生の時か?)もう40年以上前に虫歯の治療をし、アマルガムと言う詰め物がしてありました。歯の上から見て、真ん中に金属の詰め物があり、歯の前と内側に自分の削っていないエナメル質が残っています。
永久歯は子供の時に萌出し、それがずっと仕事をし続けてくれるわけですが、体の他の部分と違い、新陳代謝で細胞が置き換えられることもなく、それでもひたすら酷使に耐えて私たちの為に頑張って物を噛み切ってくれるのです。
でも、やはり歳とともに疲れてくるんですね、新陳代謝している肉体でさえ疲れてきます。あちこちが傷んで来ます。歯もすり減ってくるし、欠けやすくなって来るんです。
よく患者さんにそう説明していますが、まさにそれが私の歯に起こりました。こういう欠け方をすると、被せもので覆って補強しなければなりません。
たまたま根本先生がここで手伝ってくれるようになっていましたから、本当に助かりました。信頼のおける歯医者さんですから、安心してお任せできます。早速予約を取り(根本先生はご自身の患者さんが詰めかけて大忙し、4週間先の予約になりました。
さて、まず麻酔です。よく効きますねぇ・・・。これもよく患者さんに話しますが、患者さんには、顔が腫れたような感覚になるのですが、腫れてはいないんです。鏡を見せて安心して頂きます。自分で久々に麻酔を経験しましたが、「いやぁ・・・、ほんとに腫れたみたいに感じるよ・・。」と今更ながらに思ってしまいました(笑)。
さて形作りが始まりました。被せものの厚みの分だけ歯の周りを形成します。痛くはありませんが、やはり身体に力が入ります。よく患者さんに「は~い、力を抜いて、楽にしててくださいね・・・。」と話しかけますが、やっぱ、難しいですねぇ・・・。
仮歯を作ってもらい、歯型をとります。技工所には「私の歯です・・・」と恥ずかしながらメモを添えて送ります。一週間後にセラミックの歯が完成して来ます。
仮歯でも全く問題ないですね。忘れて普通に噛んでも全く支障ありませんでした。
さて、完成したセラミックの歯を装着します。ちょっとしみますが、麻酔なしでやってみました。削るわけではありませんが、少し触るだけでピリッと沁みます。これくらいなら我慢できますから、調整してセメントでセットしてもらいました。
少し高いかな?とも思いましたが、一日使ってみました。これもいつも患者さんに話すことですが、入れた詰め物や、被せものが少しでも高いと、噛むと痛みます。無理して慣らそうとすると、歯に大きなダメージを与えることがあります。
人間の顎の力はとてもつよいものです。その力を普段は28本の歯で分散して受けているのですが、高いとその歯だけですべての力をう受けますから、ほぼ十倍以上の力を受けることに(単純計算ですが)なります。
この力を受け続けると、さすがに耐えられなくなり歯をダメにしてしまう事さえあるのです。ですから食事してみて痛んだり、高く感じるようなら、少しでも早く調整しなければいけません。遅れるほどダメージが重なり、咬合痛がなくなるのに日数がかかるようになることもあります。
「いやぁ・・・、本当に、噛み合わせが高いと痛いもんだなぁ・・・。(笑)」と、いつも説明している事を実感しました。患者さんになってます。気持ちがいっそうわかります。
次の日に根本先生に「根本さん、もうちょっと調整してください」とお願いして、ほんの少し直してもらっただけで格段に楽になりました。
私の場合は一回の調整で済みましたが、一か所直すと、微妙に他の点が強く当たってくることもあり、たまには何回か調整しないといけないケースもあります。こんなもんかな?と思って慣らそうとすると、大きな問題になることもあります。違和感ないところまで調整して貰って下さい。
私の歯にはメタルボンド冠と言う、貴金属の薄いフレームにセラミックを焼き付けた冠を装着しました。歯に接触している冠の内面は金属です。金属は熱を伝導しますので、歯の敏感な部分が熱の変化を感じやすくなります。
その為に、以前よりも冷たい水や熱い食べ物などに沁みやすくなります。個人差がありますが、2~3週間で慣れてきてしみなくなって来ます。このこともいつも患者さんに説明していることですが、「いやぁ・・・、ほんとにしみるもんだなぁ・・・」といまさらですが実感しました。
今はもう水にもしみなくなり、快適に食事をとることが出来ます。根本先生に感謝です。
患者さんが感じる事を実感できたのも久しぶりです。いっそう患者さんの身になって治療することの大切さを感じさせてもらいました。皆さんも同感でしょうが、ま、あまりこういう経験はしたくはありませんけれど・・・。
2015年7月5日 カテゴリ:よもやま歯なし, 歯の話