土曜日の夜、有楽町のスィングに行って来ました。伊藤君子さんとピアノの宮本貴奈さんのデュオでした。
4年前(だったと思う)に閉店となった銀座松坂屋の裏あたりにあったスィングシティーには(20年くらい前からでしょうか?)ジャズを聴くようになってからよく行きましたが、伊藤さんはその店でよく聴きました。若手、そしてヴェテラン、私の好きなミュージシャンがよく出ていましたし、当時は神谷町に職場があり通勤途中だったこともあり、あの店にはよく行きました。
辛島さんもあそこで初めて聴いたのかな?それから御茶ナルに行くようになり毎月レギュラーで出ていた辛島さんのファンになりましたが、辛島文雄さんと古野光昭さん、大坂昌彦さんのピアノトリオは凄かったなぁ・・・。いいブッキングしてくれました。亡くなられた越智順子さんも出ていたなぁ・・・。
あそこがなくなって、系列の有楽町本店に私のボトルはまだありますが、あまり私好みのライブがなく、行く回数が減ってしまっています。こういう時でないとなかなか行かないので、土曜でしたがヒマだし行ってみようかなと言う事になりました。
あの頃から伊藤さんは津軽弁ジャズをやっていましたね。はじめは面白かったんだけど、回数聴いているとなんか飽きてしまって・・。なんでだろう?と思っていたのですが、この夜なんとなく理由がわかったような気がしました。
この夜は”Summertime”から始まりました。おぉっ!いつもよりも声をだしてグルーヴィーな感じです。でもやはり貫録だなぁ・・・。日本を代表するジャズシンガーの一人です。素晴らしい!
なんかいつもよりもフェイクも多めのような気がする(そんなにたくさん聴いたことがあるわけでもないので、勝手な思い込みかも知れませんが)。スキャットも熱が入っていて、今まで聴いたなかでは一番アツイかも・・・?宮本さんは引き立て役に徹しているようですが、いい音色です。
津軽弁で数曲・・・。ワンコーラスを津軽弁で、そして英語で最後を締めます。楽しいMCと相まって、お客さんが盛り上がって行きます。いいステージだなぁ・・・。
津軽弁でお客さんの笑顔を惹きだし、英語での2コーラス目は熱く、イモーショナルな演奏でお客さんの心を掴んだようです。
私がずっと思っていたのは、例えば、フランス語や、ポルトガル語、或は日本語で歌っても普通に美しく聴こえる歌が、なんで津軽弁だと面白おかしく聴こえてしまうんだろう?ということです。そして、なんか飽きてしまって・・・。
伊藤さんもたまたまこの夜のステージで、”ビギン”が「涙そうそう」を沖縄の方言で歌っているけど、意味が全くわからなかった・・・、と言うようなことをMCで話していました。そう沖縄弁もほんとに分かりません(私の義兄が沖縄の糸満市出身でして、兄が友人と電話で話すのを聞いていて何も理解出来なかったことを覚えています。)。
ただビギンの沖縄弁の歌はとても心を打つんだと思います。普通に歌っているから・・・。
この夜聴いていて初めて思ったんだけど、伊藤さんの津軽弁ジャズでは、津軽弁を強調するあまり、ピッチ(音程)やリズムを微妙にいじって歌っているんじゃないかなぁ?まぁ、彼女は津軽出身ではないそうなので「なんちゃって津軽弁」とご自分でもおっしゃっていたのですが・・・。
沖縄弁で歌おうと、中国語で歌おうと、イタリア語で歌おうと・・・、普通に歌えばそれなりに伝わって来るものがあるはずなんじゃぁないかなぁ?それをやや「受け狙い?」の作り方をしているから飽きちゃったのかなぁ?などと思ってしまったのです。(ちょっと失礼な言い方かも知れないけど、全くど素人の私の超個人的な意見です)
面白いプロジェクトだとは思うのですが、津軽弁がフランス語のように美しい言葉である事が解ってもらえるように普通に歌ってくれたら私も飽きずに聴きたくなるような気もするのです。やはり、日本を代表するジャズシンガーの伊藤君子さんには王道を行って欲しいと、私は思います。
でもいろいろと思いながらもやはり素晴らしいライブでした。また時々おお聴きしたいものです。