七夕の夜遅く、弟から電話がありました。
「認可されたよ。」「そうか、おめでとう」短い会話がありました。
どういうことかと言いますと。
アメリカに住む彼が開発して20年近く治験などを続けて昨年FDA(日本の厚生省にあたる役所です)に提出した新薬申請が7月7日に承認され、新薬としてのアメリカFDAの認可を受けたのです。
私の弟はアメリカのUCLAと言う大学の医学部でhematology(血液内科)及びoncology(腫瘍学)の教授を務めています。その血液内科の分野でL-Glutamineが「鎌形赤血球症」(Sickle Cell Desease)という病気の症状を緩和することを発見して、それを治療に使えるように新薬としての認可を受けるために研究、治験を続けていました。
この病気は黒人や一部のヒスパニック等、アフリカなどのマラリアが発生する地域をオリジンとする人々の一部だけに見られる遺伝的な病気です。赤血球が鎌形に変形し、また赤血球の寿命も短くなるためにかなり辛い症状を伴います。
特定の遺伝子の組み合わせを持って生まれた患者のほとんどは若年のうちに亡くなります。そうでない患者も激しい痛みを伴う発作に苦しめられる症状が多発します。有効な薬はなく、またこの病気に効果のある薬は過去20年近くFDAの認可を受けるに至っていませんでした。
新薬の開発には莫大な資金が必要となりますが、ずっと個人で研究開発を続けるためにはかなりの苦労がありましたが(私はその苦労のごく一部を垣間見ただけですが)とうとう新薬としての承認を受けることが出来ました。
これはFDAのHPに今朝載っていたページです。中段にある「Emmaus Medical Inc」というのが新原豊博士がこの薬の為に立ち上げた製薬会社の名前です。
いままでの苦労が報われました。まだこれから多くの苦難も待ち受けているかもしれませんが、大きな一歩を踏み出すことが出来ました。多くの人の援助と支えに助けられたことは間違いないところで、その支援し続けてくれた方々には本当に感謝しています。
またその支援に報いるべく努力し続けた弟を誇りに思うとともに、これからの成功を祈ってやみません。日本人がアメリカFDAから新薬の認可を受けたことはいままでどれだけあったのか知りませんが、これは歴史的な快挙であることは間違いありません。おそらくほとんどの日本人の方々にはこのニュースが伝わることはないと思いますが、この快挙を本当にうれしく思います。
この薬が鎌形赤血球症に苦しむ患者さんたちの痛みを和らげることが出来るようになることを祈っています。そして間違いなくそれは実現するでしょう。
Emmaus Life SciencesのHPにもホットニュースが載りました。
私の家族、知人にとって素晴らしい七夕になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。