ある朝のこと。亀戸駅で総武線に乗りましたら前でノートを開いて勉強している女性がいました。
長い黒髪が綺麗な小柄で利発そうな女性の持つノートに目をやると、なにやら難しそうな数式がびっしりと、しかし丁寧に書き込まれています。理系女子ですね。
老眼鏡をかけなければ読めませんが、なにか懐かしい数式の列に、失礼ながらチラチラと見てしまいました。一度閉じたノートの表紙に「線形代数」と書いてあるのは読めました。
あぁ、「Linear Algebra」だな。線形数学って言うのかと思っていたけど、代数なんだ・・・。
歯科大学に入る前に物理学科を卒業している私です。数学もだいぶやりました。微分積分くらいはどうと言う事もありませんでしたが、この「線形代数」あたりから、どうも理解するのが難しくなりまして・・・、それでもやり方だけ覚えて試験ではまぁまぁだったんでしょうね。数学ではオールAでしたから、要領がよかったのかな(笑)?
私の次女も物理を専攻して大学院まで行きました。あるときに線形代数がよく解らなかった、という話をしたら、「あらあんなの簡単よ。」とあっさり言われてしまいまして参りました(笑)。
どうやら私より娘の方が頭は良いようです。私には量子力学の方がまだイメージが湧いたんだけどなぁ・・・。
ま、決してさほど優秀な頭は持っておりませんが、学生時代は数学や物理は大好きでした。ひょんなことから歯医者になりましたが、いつか趣味としてもう一度勉強してみたいなぁ・・・、と言う夢を持っていました。
しかし実社会に出てみると、とてもそんな余裕はありませんでした。日々のことで精いっぱい、いつの間にか物理学科を出てから40年たってしまった。もう因数分解や三角関数でさえ解らなくなりました。
でもまだ脳漿のどこかに夢のかけらが隠れているようです。総武線で通学する可愛い理系女子のノートを覗いて、感じるものがありました。いつか、もう一度夢を思い起こしてみたいものです。