柳家喬太郎さんという落語家の独演会をテレビでやっていました。最近はなんか落語の番組が増えたような気がします。休みの日にちょっとテレビをつけると落語をやっていたりします。
あまり落語の事は詳しくないもんで、喬太郎さんの名前も初めて聞きました。なんでも江戸川乱歩の小説を元にした新作をやるそうで、多少興味もあり、暫く見ていました。
本題の前の前置き(枕って言うんですってね)で、面白い事を話していました。
「落語を聞きにいらっしゃるお客様にもいろいろな方がいます・・・、噺を本で読んだり名人の録音を聴いたり一生懸命勉強していらっしゃる方も多いようです・・・、でもあまり気張らずに、ちょっと暇つぶしに寄席にでも行って見るか・・・、くらいの軽~い気持ちで来て下さっても宜しいと思いますよ・・・、途中から入って来て下さっても全然かまいませんよ。そういう方も大歓迎で御座います・・・、たかが落語なんですから・・・」
へぇ~、面白い事言うなぁ・・・、なんて思いました。そうだよなぁ、私なんぞもジャズのライブに行くのはまさに暇つぶしだよなぁ、と思っています。あまり詳しくはないけれど、ヒマなんで行ってみると、いい音に包まれてなんか癒されたりします。つまらない時もたまにはありますけど・・・(笑)。どうせヒマなんだし、いいかな(笑)?
時間の使い方、趣味の楽しみ方は人それぞれ・・・、何が正しいと言う事もないんでしょう。でも日本人は勉強好きな方がいますね。趣味をも極めたい人もいます。それはそれで良いんでしょう、でも別に勉強なんてしないで気ままに楽しむのもありですよね。
音楽や絵画、映画・・・、スポーツもそうかな?ゴルフ・・・(笑)。趣味の楽しみ方は人それぞれですね。一つ言える事は自分の考えを人に押し付ける事はあまり褒められた事ではない・・・、と言う事でしょうかね・・・?
英語にPastimeと言う単語があります。日本語では「趣味」と訳される事が多いですが、その語源は「Pass」「Time」つまり「時間を過ごす」・・・、要は「暇つぶし」でもあるわけですが、「楽しく時間を過ごす」と言う意味合いが込められているように感じます。
野球の事を「American Pastime」と言います。野球場(英語ではBallpark、ボール公園ですか(笑)?)と言う公園に行って楽しい時間を過ごす・・・、それがアメリカンなんだ・・・と言う事ですね。
やっぱり誰でも簡単に入って行けて、楽しめる時間つぶしがいいなぁ。日本ではジャズもクラッシックもちょっと敷居が高いように思われていることが多いようです。興味をお持ちの方は結構いるんだから、そういう方々が気軽に聴きに来れるようになれば一般に広がって行く可能性はあるんじゃぁないでしょうか?そういう方々が入りやすくする工夫をしないと、ファンが減る一方のような気もします。
私は結構ヒマな人間なんで、しょっちゅうジャズのライブを聴きに行っていますが、客が私一人・・・、なんてことも何度かありました。参ったなぁ・・、誰か入ってきてくれないかなぁ・・・、なんて思いながら演奏のスタート時間まで待っています。結局私一人の為にトリオだったりカルテットだったり、客より多い人数のミュージシャンたちが演奏を始めます。たった一人でも客がいればステージは始まるんです。
それでも頑張って演奏してくれたミュージシャンたちには感謝です。私一人で3人分くらいの声援、拍手を送りました。でも、やっぱり淋しいよなぁ・・・。お子さんと一緒にライブを楽しめる機会を持つお店もあると聞いています。何かうまい方法を見つけてファンを増やせるといいですね。活気のあるライブハウスが増えてくれることを祈ってやみません。
求道者のように道を追い求めるもよし!でも気軽に暇つぶしに行ってもいいような雰囲気が欲しいものです。たかが落語、されど落語・・・。たかがジャズ、されどジャズ・・・、ですかね?
柳家喬太郎さんも、落語のテレビ中継は増えているにもかかわらず、もしかすると落語界の将来に危機感を感じることがあったのかも知れませんね。日本を代表する芸術の一つである落語も、もっと本来のように庶民のいい「Pastime」に立ち戻る必要があるのかも知れません。落語の事は全く知らないわたくしですが、喬太郎さんの話からそんなことを感じました。