歯の治療に関して、皆さんなんとなくイメージがあるのではないでしょうか?こういう時はこんな治療になるんだろうな・・・?
実際には、想像していなかったような治療をうけることになったことも多かったかもしれませんね。なんでこんなにめんどくさくて、時間かかるんだろう?と疑問に思った方もいるかもしれません。
逆に、こんなに簡単でいいの?と思うこともあったかもしれません。(ラッキーですね)意外にシンプルに済むこともあります。
私も過去に、「そんなことしないで、こうして下さいよ・・・。」とか、「なんでそうしなきゃいけないの?」「え!これで終わりですか?」といろいろな反応をされたことがありました。
一生懸命説明して、わかって頂けた方が多いですが、どうしても信じて頂けなかったり、理解して頂けない、ただ、単に理解したくないように見える方々もいらっしゃいました。
ひとつ解って頂きたいのは、私たちはマニュアルに沿って治療をする、と言うことです。
いろいろなケースによって、こういう時はこうする。ああいう時はこうする・・・。と昔からの研究で治療法は決められています。私たちはその通りに治療を進めるだけなのです。
治療法は私が決められることではないのです。ケースによっては、いくつかのチョイスがあることはあります。また狭い範囲で我々がアレンジしないといけないこともあります。選択肢があるときは、メリットデメリットを示し、患者さんに決断して頂くことになります。
ただ、基本的な治療法から逸脱することは出来ません。それは治療とは言えなくなるからです。ですから、患者さんがこうしたい、と言っても出来ないこともあるのです。
また私たちがかってに治療法を発明して、行ってはいけません。新しいことを臨床に応用するには、患者さんの了承のもとに症例を重ね、学会の審査を受け、多くの同僚による追試を受け、学会がこれは安全で、古い治療より効率的、いろいろな意味で有用、有効である、と判断された治療法だけを、私たち一般の臨床家が行ってよいのです。
自分で、これは簡単でうまくいきそうだから・・・、という理由で新しい治療をする・・・、と言うのは治療とは言えません。多分・・・、大丈夫・・・、だと思う・・・、ではダメです。遊びじゃないんだから。
提言は多数の人によって科学的に有効であることを示さなければいけないのです。そしてそれは基本的な事を大事にして、進歩していきます。基礎、基本がしっかりしていなければ、家は建てられないのと同じです。
これはどんな仕事でも、スポーツでも、音楽、アートでも、同じですね、基本、基礎をしっかり身に付けなくては次のステップに行けません。
残念ながら、基本を軽んじて、すぐにかっこいいことをしたがる人が(きっと、どんなジャンル、業界でも)少なくないように感じます。(私の個人的意見で、学会を通したわけではないので、「感じる」です)
私はスポーツおたくなので、いろんな有名なスポーツ選手のコメントを覚えていますが、みな、同じように、BASIC,FUNDAMENTAL の大切さを語っていました。ミュージシャンもそうですね。スティービー・ワンダーも「基本、そして、練習、練習、練習!」と、言っていましたよ。
以前は若い代診の歯医者さんと一緒に仕事していた期間も長かったのですが、基本的なことを一から教え直さないといけないこともありました。きっと、今はいい歯医者さんになって、地域に貢献していることと思います。