先の週末にアカデミー賞の授賞式がありましたね。前の週から、誰が、どれが、アカデミー賞をとるのか?という予想をいろいろな番組で伝えていました。
日本のメディアは「6才の僕が大人になるまで」が大本命だ、と言う見解が多かったように思います。終わってみれば、この映画がとったオスカーは「助演女優賞」のみでした。
「バードマン、あるいは(無知がもたらす奇跡)」も有力候補でしたが、この作品が一番多くメジャーな賞をとったんでしょうか?
「6才の僕が・・・」は12年間かけて同じキャストで映画を撮り続ける、という手法が話題になりました。日本のメディアはこのことに気を取られ過ぎたかもしれませんね。
息子と、テレビで流されるそういった予想を聞きながら、「確かに驚かされる手法だけれど、じゃぁ、映画としてどうだったのか?ってことだよね。」と二人で話していました。
私たちはこの中の一つの映画も観ていないので、自分たちの感想はありませんから、逆に客観的にいろんな人たちの予想を聞くことが出来たかもしれないな。
「主演男優賞」は、「バードマン・・・」のマイケル・キートンが有力視されていたようですが、「博士と彼女のセオリー」のエディー・レッドメインでした。
チラッと映像を見ただけですが、ホーキング博士そっくりでしたね。私は「マリリン、7日間の恋」での彼が印象に残っていましたが、息子は「レ・ミゼラブル」に出てたね、と言っていました。その映画の印象が強かったんでしょう。
毎年、なかなか評論家の予想が当たらない年も多くありますね。今年もそれに近い年なのでしょうか。アメリカの映画アカデミーの会員がどう受け止めているか、ということが分かるのがこの授賞式です。多少はロビー活動もあるんでしょうか?
元々、映画産業の中心にいた人達が映画アカデミーを創ったのは、アカデミー賞を作るためではありませんでした。アカデミーを作って映画界に何かの貢献を・・・、と言う事か、或はただみんなで飲む口実がほしかっただけかもしれませんよ。(これはだれも同意しないと思いますが)
みんなで集まる食事会の時に「イベントとして賞を出そう!」と、細々と始まったこのアカデミー賞は、いまや映画界になくてはならない、また権威のある賞になっています。
昔、「日本アカデミー賞」という賞が作られた時、故黒澤明監督が「日本には映画アカデミーすら、ないのに何が日本アカデミー賞だ!」と激怒していたことを覚えています。(ま、彼はいつも怒っているイメージが強いなぁ・・)
正論ですけど、ま、こういう名前の付け方ってわかりやすいですからねぇ。日本人はこういうの好きなんだよなぁ・・・。日本なんとかかんとか・・・、とか言って他の国でやっていることの名前を使わせてもらうのが。日本らしくていいかもしれませんけど。
日本アカデミー賞は、映画の賞を作る為に、「日本アカデミー賞協会」というものを、アメリカ映画アカデミーから許可(名前を使わせてもらう)をとって、作り、始めたんだそうです。だから、日本には「映画アカデミー」というものはないんですね。賞を出すための機構があるだけです。
また、あの頃は、「もう黒澤は終わりだ・・・!」とか、日本の評論家たちは言っていた時期かもしれないね。
その後、海外での黒澤明評がいつまでたっても高く、尊敬され続けている事が知れてくると、「やはり、黒澤さんは凄いよねぇ・・・」とか言い出す人も多かったですね。
評論家に限らず、日本人は海外の評判に弱いよねぇ・・・。また、評論家の意見を鵜呑みしてしまう、と言うか、信じすぎるきらいがあるように感じるのはきっと私だけではないと思います。
音楽の話をしていても、(私なんかあまり知識がないんですが)ものすごぉく、いろんな事を知っている人がいて驚かされることがあります。すっごいなぁ・・・、と尊敬してしますのですが、たまに、「でも本当に良し悪しがわかっているのかなぁ?」と疑問に思ってしまうこともあるんですね。
ライブに行くと、そう感じることがあります。私なんかはたいした知識もないのに、自分がいいと思えば誰がなんと言おうといいと思って聴いています。結局、好みの問題もあるんだから、もうちょっと勇気を持って、自分の好みを主張してもいいのでは?と思うのです。
昔、(もうリタイアされているはずだから書いてもいいかな?と、)ある音楽雑誌の名物編集長だったMさんが話してくれたんですが、「新原さんね、私たちもある意味商売でもありまして、ライナーノートには、変な事書けないでしょ?適当な事書いちゃうときだってありますよ・・・。」
私もそれは感じていましたから、CDを買って、聴く前には絶対にライナーノートは読みません。いいな、と思ったら読むこともあります。いろんな知識は得られますからね。でもまずは自分の感性を大事にしたいと思っているのです。(今日は偉そうな事を言ってしまいましたかな?)
恥をかくことには結構慣れておりますのでね・・・。