2013年9月25日 カテゴリ:歯の話
カテゴリ: 歯の話
虫歯はないのに歯が痛む話2
根尖性歯周炎と言う病名の疾患があります。なんらかの原因で骨の中に埋まっている歯根の先端の周囲に炎症が起き、骨の中で膿がたまったりします。人相が変わるほどの腫れを伴う事も多いです。虫歯の痛みを我慢しすぎて歯髄壊死により起こることもあれば、根の治療をして、(神経をとって)かぶせものをして、治療終了してから何年もたってから、新しい虫歯ができなくとも、根の治療をした歯の数パーセント(治療の巧拙によってパーセンテージは高くなるかもしれませんね)はこのような症状を発症することがあります。
急性症状がきついときは、麻酔も殆ど効かないし、市販の痛み止めでは効果がうすく、何日も眠れない夜を過ごす患者さんが多いです。また、治療もやっかいなときがあります。うまく膿を出せれば強い痛みをとることが出来ますが、一度根治(根の治療)がしてある歯の場合には、根管内を根尖まで穿通することが非常に難しいこともあるのです。患者さんにとっても私たちにとっても非常に辛い治療になることもあります。再治療不可能で残念ながら抜歯になることもときおりあります。
一度根管治療が施されたあとに根尖性歯周炎をおこすと、治療の成功率は6割から7割と言われますが、私の経験から7割くらいかなぁ・・・。根管の形状であったり、症状の重さであったり、治癒を妨げるファクターが多々あります。歯医者に行けばすぐ痛みもとれ、治療もすぐ終わるとはかぎらないことが多いんですよ。身体に大きな怪我や病気をすると、手術の成功率100パーセントと言うことはないですよね?たとえば癌になったとすると、うまく手術や治療を終えて寛解しても数年後に再発したり、転移したりすることも多いですし、幸いそういうことがなくとも術後の後遺症はかなり覚悟しないことも多いでしょう。口の中の病気(歯の疾患も含めて)もなかなか皆さんが思うほどには簡単にはいかないこともある、と言うことを知っておいて頂いて、大切にして頂きたいです。
2013年9月25日 カテゴリ:歯の話
歯周病
2013年9月18日 カテゴリ:歯の話
虫歯がないのに歯が痛い
歯の痛みの原因は多岐にわたります。虫歯で痛むのは当たり前で解りますが、虫歯以外の原因で歯が痛むことも多々あります。いろいろなケースがあり、原因を正しく診断することが非常に困難な場合も多くあります。また、痛みをすぐに抑えることが不可能なこともありますし、治療が困難なケースもあり、虫歯で痛む場合よりも、患者さんにとっても歯医者にとってもつらいことが多いのです。
また、副鼻腔炎や神経痛でも歯が痛く感じることがありますが、これらは原因が違うところにありますから、耳鼻咽喉科、等の担当範囲になります。
今回はよくあるケースで歯周病のことにふれてみます。歯周病と言う名前は頻繁に聞くようになりましたから、なんとなくイメージをお持ちだろうと思います。歯のまわりに歯垢や歯石が沈着し、それを放置しておくことにより、徐々に歯周組織(歯のまわりの歯根膜であったり、歯を支えている歯槽骨や歯肉)が破壊、吸収され、歯のぐらつきや、痛み、腫れ、と言った自覚症状が出てきます。その時点では、かなり症状が進行している場合が殆どです。
歯周病が原因で痛むのにもいくつか違う原因があります。そのひとつに、歯根膜(歯と骨をくっつけている組織で、同時にクッションの役目もしています)が拡大、炎症を起こし、歯が持ち上げられて、浮いてきたときに起こる痛みがあります。噛むときだけ痛むこともあれば、激痛がおさまらないケースもあります。
歯と歯槽骨の間の組織が怪我をしたと考えてみて下さい。噛むたびに歯の根が怪我をした組織をグリグリ押すわけです。例えば手に怪我をしたときにそこをグリグリしたら・・・。痛いでしょう?同じような事なのです。手に怪我をしたら、消毒して、包帯、バンドエイド等でカバーして安静にして治癒を待ちますね。怪我がひどいときは数日は痛み止めを使わざるを得ない時もよくあるでしょう。
同じように、歯周病のときも、刺激しないように(そこで噛まないように)消炎を心がけ、炎症がおさまるのを待つしかありません。こう説明してもたまにすぐ痛みがとれないのはおかしいと思い込んでいる方もいらっしゃって、困ることがあります。
歯周病の場合は痛み、炎症がある程度おさまるのをまってから、根本的な治療をしなければいけません。手を怪我したときには、そこが治れば終わりですが、歯周病の(今回話しているケースの)場合、原因は歯周ポケット内の歯垢、歯石などですから、それらを除去しなければまた繰り返します。そのたびに歯槽骨が吸収され、最悪の場合抜歯以外に方法がなくなるのです。
歯周病の治療は根気がいりますし、我々に出来ることはあまり多くありません。患者さんの頑張りと(治療、普段の手入れ、定期的なクリーニング等々)病気に対する理解が大事です。一生病気との闘いになります。虫歯よりも歯周病の方が歯をなくす原因としては多いということを知ってもらい、ご自分の大切な身体の一部である歯を守って頂きたいと切に思います。
2013年9月18日 カテゴリ:歯の話
痛くならない虫歯の話
以前、虫歯はよほど深くならないと痛くならない、と言う話をしましたが、今日はいくら深くなっても痛くならない虫歯の話です。痛くならないからほっておいた為に歯を抜かざるを得なくなってしまうことも度々あります。
虫歯が深くなって歯の中心にある歯髄(中に神経、血管などが入っています)が侵されると、痛みが出ます。そうなると歯髄(神経)を取る治療(根の治療、根管治療と言います)をすることになります。他に痛みをとる方法はありません。ずっと我慢しつづけると、(時々こういう患者さんもいらっしゃいますが)歯髄が壊死して、虫歯の痛みを感じなくなりますが、壊死した歯髄が腐敗していく為に、またまた大きな問題が起こってきます。
きちんと根管治療を終えて、機能回復した歯でも、そこに歯があるかぎり、残った歯質の手入れがよくなされなければせっかく残された健全な部分もまた虫歯になる可能性が高くなります。
ただし、今度虫歯になっても痛みを感じる神経がなくなっていますから、どんなに深くなっても痛くなりません。痛くなくても、穴が開いたり歯が欠けたりしたときに治療に来て頂ければ再治療可能なのですが、(その時点ですでに根の中深く進行してしまっているケースもありますが)痛くないのでついつい放置される方も時折いらっしゃいますね。
しまいには見えない部分、根の中深く虫歯が進むと、少しの力で歯が崩れてしまします。そこまで行くと、もう治療して歯を残すことは不可能なことが多くなります。歯槽骨の中に残った根は除去しなければ、その周りの顎の骨が吸収されて、両サイドの歯に悪影響を与えることになります。
手遅れになる前に適切な治療を受けなければ、徐々に多くの歯を弱くしてしまいます。どうかご自分の身体を守るために、早めの治療をお願いしたいものです。早ければ早いほど治療も小さく早くすみます。正直そのほうが私どもにとっても楽なんです。お互いの幸せのためにも時々の検診をおすすめしたいと思います。
患者さんのために一番良いのは、私たちに仕事をさせないことですね。虫歯を治すなと言うことではありませんよ。虫歯を作らぬよう、よく手入れをすること、そしてもしも虫歯や歯周病になっても、自分に自覚症状が出る前に軽度のうちに発見し(そのためにはやはり定期検診を)早期治療をすることです。
みなさん身体に気を遣い人間ドックに毎年行かれる方は多いのですが、またそこで異常が見つかれば殆どの方はすぐに治療に入られるようです。残念ながら歯に関しては・・・。歯も身体の大切な一部ですから、是非大事にして頂きたいものです。
2013年9月12日 カテゴリ:歯の話
歯の話1
ブログを始めました。歯の話、歯に関係ない話、徒然なるままに書いて行きます。
興味の無い話は、どうぞ読み飛ばして下さい。
今日は、痛くない虫歯の話をしましょうか。
患者さんの口の中を拝見すると、いくつか虫歯を発見することがあります。
それを伝えると、よくある反応は「でも痛くないですよ?」と言うものです。
説明を聞いて理解してくださる患者さんが殆ど(と、信じています)ですが、中には
虫歯は痛いもの、痛くないのだから虫歯のはずがない!と強い思い込みを
持たれている方もたまにいらっしゃいます。虫歯が痛み出すのは、小さかった虫歯が
進行して、歯の中にある歯髄(俗に神経と言います)が炎症を起こして痛みを感じるように
なります。かなり深く進行しないとそこまで行きませんし、歯と歯の隙間から虫歯が進行
すると、かなり深くなっても虫歯の穴は見えません。歯髄炎を起こして痛みが出ると、
神経を取る治療をしなくてはならなくなります。歯髄を取り除いた歯は徐々にもろく
なりますから、噛む力で歯が割れることを防ぐ為にかぶせものをしないといけなくなります。
歯をだいぶ削らなくてはいけないし、治療後も問題が出てくることもあります。
等々、一生懸命説明するのですが、自分の思い込みから抜けられない方も、まれに
いらっしゃいます。私たちが一番困ることのひとつですね。信頼関係がなければ、
治療を進めることはできませんから。
悪くなった歯を元通りにすることは不可能なので、なるべく虫歯の小さいうちに(虫歯
は全部削り取るしかないので)治療して頂くと、歯を削る量も少なくてすむのですけれど。
最近はインプラントもだいぶよくなって来ていますが(私はインプラント治療はしませんが)
やはり身体に異物を埋め込むわけですから、治療後に問題が出る確率はゼロでは
ありませんから、「歯がなくなったら、インプラントをすればいいや」とあまり気楽に
考えないほうがよいかと思いますよ。
なんかだんだん話がそれて行きそうなので、今日はこの辺で・・・。
ほかにも痛くない虫歯で気をつけなくてはいけないケースがあります。
また次の機会に・・・。